遠浦帰帆図 <small>名物</small>

重要文化財

遠浦帰帆図 名物 えんぽきはんず

中国湖南省の洞庭湖(どうていこ)に注ぐ湘江(しょうこう)と瀟水(しょうすい)の流域は「瀟湘(しょうしょう)」と呼ばれ、風光明媚で四季朝夕の変化に富み、景勝地として多くの文人墨客が訪れた。本品は、瀟湘の名景とされた、瀟湘八景(しょうしょうはっけい)のうち遠浦帰帆を画題とする。落款はないが若芬玉澗の作品とみなされている。玉澗は宋時代末期~元時代初期の画僧である。中国浙江省金華の人、杭州天竺寺の書記となり、諸方遊歴ののち故郷に帰り、景勝の地に亭を作って扁額を掛け玉澗と号した。近年、画面左に捺された朱文方印「三教弟子」は同時代の書家・鮮于樞(せんうすう/1256~1302)の所用印と判明した。

【中国・南宋時代 13世紀】

作者:玉澗筆・同賛

伝来:室町将軍家(足利義満…義教…義政)…宗長…太原雪斎…今川義元…(北条氏)…北条氏直―豊臣秀吉 ―徳川家康―徳川義直(尾張家初代)
紙本墨画
本紙 縦30.6 横77.0

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