源氏物語絵巻とは

国宝

源氏物語絵巻とは げんじものがたりえまき

12世紀前半に宮廷を中心として製作されたと考えられる『源氏物語』現存最古の遺品で、原作に近い時代の雰囲気をよく伝えている作品です。また爛熟した王朝文化の伝統を踏まえて、研ぎ澄まされた感性による絵画表現、美麗に装飾された料紙にしたためられた詞書の優美な書など、多くの「源氏絵」の中でも、ひときわ高い格調と説得力をもって、見る者を魅了します。現在、阿波国の蜂須賀家に伝来した一巻分(鈴虫・夕霧・御法)が東京の五島美術館に、尾張徳川家伝来の三巻分(蓬生・関屋・絵合・柏木・横笛・竹河・橋姫・早蕨・宿木・東屋)が徳川美術館に所蔵されていますが、諸家に分蔵された詞書の断簡を含めても『源氏物語』五十四帖のうち二十帖分が知られるに過ぎず、製作当初には相当な巻数にのぼるセットであったと考えられます。

昭和7年(1932)に保存のため四十三面の額面装とされていた徳川美術館の国宝「源氏物語絵巻」は、平成28年(2016)から令和2年(2020)にかけて、保存上の観点から十五巻の巻子装に改装されました。

【平安時代 12世紀】

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