狩猟図彫彩漆盆 しゅりょうずちょうさいしつぼん
鷹や猟犬を従えた馬上の6人の人物を七宝繫の地文に、山間を駆けて狩猟する3人をめぐる遠景は網目の地文にあらわしています。内側面には、山岳に雁や鷺などの鳥、外側面には野山に息づく鹿や猪、狐たちが網目地に配され、盆全体で狩猟にまつわる物語的世界が描き出されています。
薄い木胎に最表層は茶色、以下には緑・黄・茶・朱・緑・茶・黄・朱・黄・緑の合計十色の色漆の層が見え、旗や馬具などには、沈金(ちんきん)が用いられています。なだらかな彫り方のため塗り重ねた各色が現れており、当初は色彩感溢れる作品であったと考えられます。類似作例が極めて稀な、南宋時代に遡る優品です。
【中国・南宋時代 13世紀】
高3.0 縦18.8 横48.2