屈輪文犀皮食籠・盆 ぐりもんさいひじきろう・ぼん
「犀皮」の遺品の中でも、他に類例がない名品として知られています。木地は、薄いリボン状の板を重ねながら巻きつけて形姿を整え、漆を施す巻胎(けんたい)技法で製作されたと思われます。そこに黄・朱・黄・朱と五層の漆を塗り重ね、表面に茶漆を施して文様を彫り出しています。蓋の内部や底部は黒漆塗りとなっています。
蓋表は、斜格子で区画し、その中央に四弁の大きな花形を据え、格子の交わる部分に大小の花形を交互に配し、ハート形と唐草の屈輪文様を交えながらあらわされています。上下左右対称のその意匠は、破綻がなく洗練されています。
【中国・南宋時代 13世紀】
食籠 高11.8 径22.7
盆 高4.6 径31.0