国宝
名所香箱 めいしょこうばこ
香箱とは、香合せ(組香)に用いる香札を納める箱である。蓋表には銀彫金により「名所香箱」の文字が置かれ、全体に海辺の風景や帆船などが描かれる。香札は十人分あり、「初瀬」「玉河」など名所の名を記した10組にそれぞれ香札5枚と小箱が附属している。小札裏面には「月」「雪」「桜」「橘」「菊」の文字が記されており、香合せの際には、聞いた香の結果をこの文字により回答する。現在の香道御家(おいえ)流・志野流における名所香では一・二・三・ウの四種で回答するため、本品は異なる流儀や手法に基づいて作られたとわかる。
「初音の調度」と共に、国宝に一括指定されている。
【江戸時代 寛永16年(1639)】
霊仙院千代姫(尾張家2代光友正室)所用
高16.0 縦18.2 横15.2